障害者手帳を取得してケーキを買いに行こう

[第12回みみここカフェ イベントレポート]

2022年8月21日 夏休み真っ盛りの日曜日、「みみここカフェ」のオンライン会場に、4人の参加者があつまりました。

これまで、現場の空気感を伝えるレポートを書いてくださっていました。しかし、話す内容が見られてしまうという不安も同時にあるのかなと思っていました。
そこで、開催から2年目に当たる今回からは、レポートを簡易にして、報告していこうということになりました。

 

※過去の「みみここカフェ」レポート
【第1回 2020年10月開催】障害をこえて誰もが心通じあえる社会は、つくれる。
【第2回 2020年12月開催】誰もが特性を持って生きている。“人と人”として向き合うということ。
【第3回 2021年2月開催】ごちゃまぜだからこそ、”自分”がわかる。わかりあえる。
【第4回 2021年4月開催】「あなたのことをわかりたい」。支援する側・される側、その想いが交わるとき。
【第5回 2021年6月開催】「聴こえる・聴こえない」「男・女」じゃなく、「私は私」。”2極の世界”から飛び出して、軽やかに生きるために必要なこと。
【第6回 2021年8月開催】笑顔の先に、あらゆる障害のない社会を見据えて。
【第7回 2021年10月開催】“適度な無関心”が居心地の良い社会をつくる。
【第8回 2021年12月開催】 図々しく生きていこう。その一歩が、“スローコミュニケーション”という文化につながるから。
【第9回 2022年2月開催】 「死」を語ること。それは、「生」を考えること。
【第10回 2022年5月開催】 怒りや嘆きではなく、自分から「好き」を伝えよう。
【第11回 2022年6月開催】 コミュニケーションの方法はみんな違ってみんないい。

  

中途失聴者にとって、『障害者手帳』を取得するかどうかはアイデンティティの問題や、障害受容にも絡んでとても複雑な思いを抱える人が多いです。

そんな中で、ひとりの中途失聴者が今夏、障害者手帳を取得。そこまでの葛藤やこれからに向けた前向きな気持ちを語ってくれました。

(手帳を取得した直後に)「私はそれで勇気を持って、じゃあ何をするかって言ったらすごく些細なことなんですけど、ケーキを買いに行ったんです。」

「誕生日のデコレーションケーキを予約して、プレートに名前を書いてもらおうと。」

「障害者なんだから障害者だとはっきり話して、そして相手とうまくなんとかコミュニケーションとって、ちゃんと買おうと。」

「そんなこと耳の聞こえる人には考えられないし、こんなこと言う必要ないんですけど、私にはすごく勇気が必要だったんですね。そのケーキ屋さんに行った時に、ものすごく嬉しかったことがありました。そのお店の若い女の子、20代くらいだと思いますが、ものすごく上手に筆談してくださったんです。」

「ケーキは何センチがいいのか、プレートにはどんな文字を書くのか、プレートはいるのとか、値段はこの値段ですって全て紙に書いてくれたんですね。そして、思いのほか気持ちよく買い物が、できて、私は何か、感謝の気持ちでいっぱいになったんですね。次の日そのケーキを取りに行くときにもその女の子いなかったんですけどお店の方にすごく気持ちよく買い物ができましたっていうことをお伝えしました。」

「なんかその出来事のおかげで、その障害者手帳を取って障害者になったということを、何か落ち込まないで、逆に勇気を持って前に進む第一歩になった。」

手帳を使って博物館などに行くと、その周囲の人は介添者として割引サービスを受けます。障害者手帳を取得することで、実は本人だけでなく周りの人も「あなた、本当に障害者なんだね」と認識を新たにするようです。周りもきっと受け入れるのに少しずつ時間が必要なのでしょう。

 

とっても素敵な心情を聞けました。

次回の「みみここカフェ」は10月23日です。
またいろんな方たちとお会いできることを楽しみにしています。

10月23日(日)10時〜 お申し込みはこちら

4Heartsにご提供頂いている株式会社リコーの音声認識pekoeの紹介はこちら

 

[文:4Hearts]

※プライバシー保護のため、対話の内容や個人名は一部編集しています。「みみここカフェ」では、参加者のプライバシー保護、情報開示の意志を尊重して活動報告を行っていますので、安心してご参加ください。