第六回サイレントアート開催レポート
『ともにいる』ということ
立春も過ぎ、本格的な春のはじまりを告げた2月4日(土)、サイレントアートのワークショップを開催いたしました。
今回は様々な背景をもつ10名の参加者が集まりました。
聴覚障害体験では、「方向感覚がなくなった」、「目の前の会話への勘違いに驚いた」などの感想が出ていました。
視覚障害をもっている息子さんがいるというTさんは、音が大事な普段の生活と真逆だったといいます。
困りごとは違うけど、いろんな想像力を働かせて感覚を研ぎ澄ませるとはこういう風なんだなと思いました。
感覚をフルに活用して感じた世界はとっても素敵だったけど、疲れもしました。
そのことにも想像力を働かせていきたいと思います。
また、普段から耳栓をすることで集中したり、リラックスしているという声もありました。
それに対して、中途失聴者のYさんは同意しながらも、コミュニケーションから遮断される気持ちを前向きな気持ちとともに話してくれました。
気を使ったりしないで済むことは確かなんだけども、本当に人とコミュニケーションをとるっていうことはできない。
あれはすごく不安で悲しいですね。寂しい。
だから、そこの部分がしっかり補ってもらえる社会になったら、きこえないっていうことも決してマイナスじゃないと、今日また改めて感じました。
那須は、ヘッドホンを外した時のホッとした感覚を忘れないでほしいと伝えました。
「きこえててよかった。自分は恵まれてるんだ」ということをちゃんと理解した上で考えていくことが大切です。
社会にある「土俵の差」をちゃんと理解していない中で寄り添ってしまうとズレが起きてしまいます。
明確にわかりやすい障害をもっている人はほんの一部。
もっと圧倒的にコミュニケーションにバリアを感じている人がいます。
発達障害、子ども、高齢者、外国語を話す人などたくさんいます。
本当の意味で社会を変えていくには、もっと人々が「見えないバリア」を意識することが大事だと思います。
コミュニケーションは人と人がつながるためのもの。
そこに対するバリアがあれば、孤立します。
まず、そこを解消すれば、物理バリアもおのずと解消されていくと思います。
体験して気づいたこと、様々な気持ち。
どうしたらもっと心と心がつながれるまちに変えられるんだろう?
そんなまちを描いていくサイレントアートの時間に移りました。
これから何がはじまるのか、わくわくドキドキ。
自分が考える理想のまちってなんだろう?
他の人が描いた思いに、自分の思いを重ねて…
目を合わせ、行動で示してつなげていくと…
最後にシェアされたのは、絵や文字を通した豊かなコミュニケーションへの驚きや自分一人だけでもそうした気持ちを持って生きることの大事さに気づいたという声。
Yさんからは、どんなにテクノロジーが発達しても人と人が心を寄せ合うという関係を一番大切にしてほしいし、自分もそうしたいという気持ち。
そして、Tさんが話してくれたのは、普通のこととして接する姿勢。
次男は去年突然病気を発症して、今まで普通の高校生だったのに、突然、見えなくなる病気だよって言われました。
本当にみんなと同じだったんですよ。
部活を楽しみ、彼女とどっかに行くという生活から一変しました。
でも、それを支えてくれているのが、周りの友達なんですね。
今、「インクルーシブ」とか「合理的配慮」とか、 すごく難しい言葉を使ってますけど、周りの友達は何してくれてるかっていうと、「たまたまこいつが目が悪くなっちゃっただけ」って扱いなんです。
見えないものは普通にノートを取ってくれるし、試験勉強はLINE電話を繋ぎながら質問をしてくれて、それに答える試験勉強を自然にしてくれていて。
コンビニに行けば、飲み物の表示が見えないのでそれを読んでくれる。
「お前今日、赤コーラ?黒コーラ?」みたいな感じで。
難しいことを大人は言ってるんだけど、そんなことが本当のインクルーシブなのかなと思ってるので、ぜひそれを普通のこととして、自分事として考えてくだされば嬉しいです。
今日の体験での気づきを周りの人に伝えていってもらいたいと話してくれたのはTさんでした。
押し付けるのではなく、「こんなことをしてきた」とゆるやかに。
次回は4/22サイレントアートです。
ぜひ、あなたも体験してみてください!
レポート:レイ(4Heartsサポーター)
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