音のない世界を生きる写真家 武井金史の既視感

Photographer Takei-san photo


音のない世界を生きる聴こえない写真家、武井金史さんの個展にお邪魔させていただきました。
私と同じように聴こえない人間が、ファインダーを通してみる世界はどんなものだろう。そんな好奇心を抑えながら武井さんに取材をさせていただくと、彼の人生とカメラは切り離せないものなのだと感じました。

 

1948年東京生まれ、鎌倉育ち。2歳の時に失聴。ろう学校の先輩に勧められて、18歳のときにカメラを始めたそうです。最初はまったく興味がなかったものの、先輩にむりやりあちこち連れて行かれるうちに、写真の魅力にはまっていったそう。

 20歳のとき、アルバイト代を貯めて買った中古のニコンを片手に家を出て、自身の感性のままに撮っていたらコンクールで受賞するようになりました。その当時、聴覚障害者の働き方は限られていたし、写真家になっている人はまわりにいなかったのです。

それでも可能性に賭けようと思い立ちました。写真家になろう、と。

アルバイトをして当分のお金を貯めては、撮影の旅に出ることを繰り返す日々。聴こえないからこその感性を情景のなかに捉え、瞬間を逃さないようにカメラを構える。素材はふとした道端に転がっているものだ、と彼は言う。

武井さんに、情報に溢れた今を生きる若者たちに伝えたいことは何かと聞いてみました。 胸を張って、彼はこう答えました。

「1%でも、0.1%でも、0.01%でも。可能性があるなら、絶対にそこに行きなさい。」

 

 

picture of Title: Bustle

 

picture of Title: Wave melody

 

picture of Title: railroad track

 

 
取材:那須かおり