『咲む』茅ヶ崎市上映報告
全日本ろうあ連盟創立70周年記念映画
2020年5月4日(火・祝)、茅ヶ崎市民文化会館小ホール、全日本ろうあ連盟創立70周年記念映画『咲む』の上映会が開催されました。
『咲む』公式サイト https://emu-movie.jp/
主催は茅ヶ崎市聴覚障害者協会(茅聴協)。後援は茅ヶ崎市、茅ヶ崎市社会福祉協議会、茅ヶ崎市教育委員会、一般社団法人4Hearts。
来場者数は380人(午前:大人 194人・小中 6人 / 午後:大人 173人・小中 7人)。
盛況裏で開催終了した上映会を、茅聴協の許可を得てレポートにしました。
私たち一般社団法人4Heartsは、茅聴協の依頼を受けて後援させていただきました。
(代表の那須は全日本ろうあ連盟・茅聴協ともに正会員でもあります。)
全国の市町村でも聴覚障害者協会が順次上映会を開催しているのですが、緊急事態宣言の関係もあり、中止になっている所が多数出ています。茅ヶ崎市は感染対策をしっかり行い、会場も従来の席数を半数にして開催することとなりました。
実行委員会の打ち合わせは、茅ヶ崎市民活動サポートセンター(https://sapocen.net/)で夜間に何度も行われていました。那須も途中から実行委員会に参加し、様々な面で協力をさせていただきました。長谷川市議・桝県議も各方面に呼び掛けて下さり、当日も実行委員として会場でご一緒に立って下さいました。
永田県議も、茅ヶ崎TVの『永田てるじのパワーアップ神奈川』にて呼びかけて下さいました。
5月4日は、映画『咲む』のポスターに負けず劣らずの澄み渡る快晴。
茅ヶ崎市のクールビズは『アロハビズ』ともいわれ、5月からアロハシャツを着ます。市の関係者はアロハシャツで、鑑賞されている方もおられました。
アロハビズ×茅ヶ崎市(茅ヶ崎市公式HP)
https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/sangyo/1007031.html
実行委員や要員の方は、『咲む』のTシャツ。4Heartsもスタッフと分かるようにTシャツをとのことで、急遽用意しました。
午前は茅ヶ崎市長も観に来られ、舞台挨拶。最後まで映画をご鑑賞下さいました。
また、河野太郎大臣からも祝電をいただき、茅聴協会長より舞台挨拶で祝電披露を行いました。
ご来場者には座席を1つ空けて座っていただきました。手話通訳は当然のこと、右側前方では要約筆記で情報保障を実施していました。
現在は音声認識など便利なものも確かにありますが、手書き要約筆記を望まれる方もまだまだいらっしゃいます。こういった多様な情報保障があるということを、しっかりと認知していただくためにも大切なことですね。
上映後、ホールから出てこられた方々は、目を赤くしながら「泣いた~」「来て良かった」と口々に仰っていました。何かを感じながら、何かを噛みしめながら出て来られる方が多かったのが、とても印象的でした。
“聞こえない人の映画だろう”と思われがちなのですが、そんなことはありません。
とある聴者に「聞こえている方でも、観ていて自分と重なるものですか?」と聞いたら
「重なるね〜!何かに挑戦している人を見ると、感動するじゃない?」って仰っていました。
スポーツも、そうですよね。
ひたむきさが、人の心を動かすことがあります。
茅ヶ崎市聴覚障害者協会会長から、無事に開催終了できた喜びのコメントが届きました。
「この映画こそ、私たちが求めている共に生きる社会のイメージを切に表現している!」
と、昨年の8月に横浜市内で公開された「咲む」を鑑賞した私はいたく感激しました。地元の茅ヶ崎でもぜひ上映したいと夢が芽生え、地元の仲間たちと企画してついに実現したことはこの上ない喜びです。
この映画のヒロイン瑞月のように試練にくじけず前向きに生きることのできる障害者は現実の社会では決して多くはありません。だからこそ現実の障害者は私も含め瑞月のような生き方にあこがれるし、一般の方々としても障害者とはどう接したらいいのかをさり気なく教えてくれるところがこの映画のいいところなのだと思います。この素晴らしい映画を製作した方々にはただ感謝するばかりです。
当日は予想以上に多くの方々が鑑賞され、観る人すべての人が笑顔いっぱいになったことは大きな喜びですし、この映画が、手話を含む言語や、人それぞれが持つ個性などさまざまな多様性を社会で生きる多くの人に受け入れられるようになることが、共に生きる社会への道すじが開かれることの一つのきっかけになればありがたいことです。
茅ヶ崎市聴覚障害者協会
会長 湊 弘志
さて今回、4Heartsが発起人となって広めようと思っているプロジェクト『スローコミュニケーションプロジェクト』https://4hearts.net/info/2422/の宣伝をさせていただきました。
茅ヶ崎市産業振興課・障害福祉課、神奈川県共生推進課とも共有させていただいております。
また、神奈川大学工学部経営工学科の髙野倉雅人教授(人間工学人間中心設計UX/UIデザインサービスデザイン)のゼミ生との共同研究もこのプロジェクトの推進力となっております。
神奈川大学
https://www.kanagawa-u.ac.jp/
https://professor.kanagawa-u.ac.jp/eng/management/prof10.html
神奈川大学人間工学研究室
https://ku-labo.kanagawa-u.ac.jp/detail/detail_eng_1059.html
この小さなまち、茅ヶ崎市から『スローなコミュニケーション』を広めていきましょう!
こちらに関する詳細は後日、またお知らせできればと思います。
今回、神奈川大学との共同研究をさせて頂いているゼミ生 林祥吾君から、『咲む』の映画の感想を寄せて下さいました。
映画「咲む」の感想
映画「咲む」を観て、様々なシーンが印象に残りました。ここからは私が「咲む」を観て特に印象に残ったシーン、そして印象に残ったシーンに対する私自身の考え・思いについてまとめていきたいと思います。
まず初めに、主人公の瑞樹が病院で面接(手話通訳者付き)を受け、最終的に聴覚が不自由であることを理由に断られてしまったシーンが印象に残りました。
これまで私は、面接時に本人の希望があった場合に手話通訳や筆談などの対応をしてくれる企業が増えているという情報を聞いたことがあったため、聴覚の不自由な方が就職時に感じる壁(バリア)はだんだんなくなってきているものだと思っていました。しかし実際には、聴覚の不自由さを理由に雇ってもらえない、といった就職上のバリアは明確に存在しており、こうした就職上のバリアを取り除いていかない限り共生社会を実現することは出来ないのではないかと思いました。
こうしたバリアを取り除くためには、雇用する側の意識改善、職場における手話通訳者や筆談用の紙、音声認識ソフトの設置が必要であると考えます。
また、周囲の人が談笑している際に突如無音になり、会話の内容が分からないといったシーンを見た際には、聴覚に不自由さを持つ人が日常生活を送る上で感じているであろう疎外感・不公平感の一部を体感することができました。また、私であったなら会話に入りに行くのではなく、諦めてしまうとも思いました。こうした人と関わっていく上でのバリアは様々な状況において存在しており、そのバリアをなくすためには周囲の人の適切な理解、配慮が重要だと考えます。
また、登場人物の一人である加古川リュウ子が「両親の仕事を手伝いたい」と言い苦労しながらも卵を持つシーンが印象に残りました。私は以前、どこかで「人は人から必要とされることで幸せを感じる」といったことを聞いたことがあるのですが、まさにこのシーンに一致すると思いました。また、私自身も同じように感じた経験があるためこのシーンは特に印象に残っています。障がいを持つ方に対して一方的に手助けをするのではなく、お互いに助け合い、必要とし合うことが重要だと思いました。
ここからは映画の内容とは異なる内容になってしまうのですが、映画「咲む」でも導入されていたUDcastというシステムが気になりました。UDcastは映画を見る際に字幕や音声ガイド等を表示することができるアプリケーションであるとのことですが、映画などの娯楽に存在するバリアを取り除くことも共生社会の実現において重要だと思いました。
一人でも多く、彼のように何かを感じて下さる人が増えれば、新しい社会を作っていける、そんな希望を感じました。
実行委員会、要員のみなさま、ご来場いただきましたすべてのみなさま、そして開催にあたり多くのご協力を寄せていただきまして、誠にありがとうございました。
みなさまの心に『咲む』の手話のように、笑顔の花が咲きますように。