「ごめん!俺、風疹だった。」後悔しないために抗体検査をうけてください

ろう重複障害児を持つママの子育て奮闘記

pregnant woman photo

 

 今、コロナウイルスが世界中を騒がせています。
しかし、コロナウイルスだけが[悪]ではありません。

インフルエンザ、風疹、麻疹、アデノウイルスなど、空気中にはさまざまなウイルスがいます。
どのウイルスも人体に影響を及ぼすし、ヒトによっては重大な障害を招くものばかりです。

特に風疹は、予防接種を受けても抗体が付きにくいタイプのヒトもいます。
私は幼稚園年長と小学2年、2回風疹にかかっています。
中学2年の風疹の予防接種は、2回風疹に罹っているなら大丈夫でしょうということで、受けませんでした。

結婚し、妊娠が判明。2ヶ月でした。
出産ギリギリまで働くつもりだったので、妊娠はすぐに報告しました。
その時、同じフロアにいた先輩が私に言いました。
「熱っぽいんだよ。体温計貸してくれる?」
翌日、彼は会社を休みました。

さらにその翌日、私は産婦人科の定期検診で仕事を休みました。
ひとりで朝食を食べている時、たまたまテーブルの上に鏡があったので覗いて見ると頭のてっぺんから足の先まで全身に赤い発疹が出てきました。
痒みはないし、熱もないけれど、蕁麻疹とは明らかに違う発疹に驚いて、すぐに産婦人科へ飛んで行きました。
産婦人科では
「風疹の発疹に似ているけれど、熱はないし、リンパも腫れていない。うちでも血液検査するけれど、皮膚科も受診しなさい。」
と言われました。
すぐに駆け込んだ皮膚科では、
「風疹は2回やってるの?産婦人科で風疹の血液検査したなら、うちでやっても意味ないんだけど、まあ、血液検査しておこうか。」
と言われました。

大事をとって一週間仕事を休んで、血液検査の結果を聞くためにまずは産婦人科へ行きました。
「抗体値が高めなんだけど、過去に2回風疹やっているのだから、もともと高いのか、風疹感染によるものなのか、わからない。赤ちゃんに影響が出ないことを祈るしかないね。」
皮膚科でも、結果は同じでした。

出勤してすぐ、体温計を貸した先輩に、
「ごめん!俺、風疹だった。」
と言われました。

頭が真っ白になりました。
知り合いで妊娠中に風疹に感染しても無事に元気な赤ちゃんを産めたという話も聞いていたし、胎動も3ヶ月でわかったので、この子は大丈夫だと信じていました。

しかし、妊娠5ヶ月で胎児の成長が止まっていることが判明。
仕事もドクターストップ。
大学病院への紹介状を持たされ、転院しました。

「心音に異常はない。羊水検査も異常なし。10ヶ月お腹にいれておこう。」
臨月を迎えたばかりの女優さんが、胎動がなくなったと病院に駆け込んだ時に、赤ちゃんが亡くなっていたというニュースを見ていました。
小さくてもいいから、お腹を蹴り続けて!
そればかり祈っていました。

予定日より一週間遅れましたが、自然分娩で生まれて来てくれました。
取り上げてくださったドクターに言われた言葉が、いまだに私の頭から離れません。

「お母さん、先天性風疹症候群(※妊娠初期に風疹に感染すると生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓や脳に障害が起きる場合があります。)と全く同じ症状が出ているよ。」

あの時の先輩は、私が仕事を辞める前に、会社を辞めていました。
悔しくて仕方がありません。

そして、この子も一歳の誕生日を何とか迎えた直後、風疹にかかりました。

風疹の抗体値をきちんと調べ、抗体値が低かったら、予防接種をうけてください。
結婚を控えている方を持つご家族なら、特に。
職場に妊婦さんがいたら、尚更。

 

私は、命がけで生まれてきてくれた我が子の母として、すべての人に心からお願いします。

 

 

 公益社団法人 日本産婦人科医会
2021年“風疹ゼロ”プロジェクト宣言
― 毎年2月4日は風疹の日 ‼ ―

現在、40-50代の男性(*)へ風疹抗体検査の無料クーポン券が送付されていますが実施率はおおよそ17%に過ぎず、80%以上の方が検査を受けていません。
 一人でも多くの方が風疹の抗体検査をうけて、風疹抗体の不足している方は予防接種【麻しん風しん混合ワクチン=MRワクチン:これも国の負担で受けられます】を受けてください。
*昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性

公益社団法人 日本産婦人科医会

  

政府広報オンライン

抗体検査・予防接種を特に検討していただきたいのは、昭和54年(1979年)4月1日以前に生まれた男性です(この世代の女性はすでに中学生のときに集団接種を受けています)。昭和52年度(1977年度)から公的な風しんの予防接種制度が設けられ、女性は予防接種を受けるようになっています。また、その後の制度改正により、昭和54年(1979年)4月2日以降に生まれた人は男女とも予防接種を受けるようになっています。昭和54年(1979年)4月1日以前に生まれた男性は、このような公的な風しんの予防接種の機会がなかったため、風しんの免疫(抗体)を持っていない人が多いと言われているのです。風しんの感染を防ぐためには、これらの方々にも風しんの抗体検査を受け、免疫(抗体)がない場合は予防接種を受けていただく必要があります。

政府広報オンライン

 

  

manami photo

著者:真愛美

妊娠中の風疹感染による先天性風疹症候群のろう重複障害児のママ。
同じような境遇のママ達に少しでも参考になればと子育て体験記、知恵、アドバイスなどを自身の経験から執筆。

風疹 厚生労働省 
http://www.pref.kanagawa.jp/documents/24583/leaf_rugbyj.pdf

政府広報オンライン 
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201406/3.html

日本産婦人科医会
http://www.jaog.or.jp/rubella/