手話について

手話ってなに?

ろう者の集団から生まれ、発展してきた「目でみることば」です。
手や指の形、位置、動きを元に、表情や動作などを使って表現し、目で見て理解します。日本語とは異なった独自の文法を持った視覚言語です。
ネイティブサイナーの使う日本手話、日本語を手指動作に置き換えた日本語対応手話、日本手話と日本語対応手話の両方を合わせた中間手話があります。

ろう者や聞こえにくい人には、失聴した年齢、生まれ育った環境、手話を獲得・習得した年齢など個々に違いがあります。子どもの頃から手話でコミュニケーションがとれるろう学校や家庭などの環境にいた人もいれば、中学校や高校、大学、もしくは大人になってからろう者の仲間や手話に出会い、手話を学び、身につけた人もいます。また、相手により無意識に使い分けている人も多くいます。

これら全てが手話であり、音声言語である日本語と対等な一つの言語です。

財団法人 全日本ろうあ連盟「手話言語に関する見解」(2018.6.19)
https://www.jfd.or.jp/2018/06/19/pid17838

手話は世界共通?

これはよく聞かれることなのですが、世界共通ではありません。
英語と日本語が違うようにアメリカの手話と日本の手話もまったく違います。
同じ英語圏であるアメリカとイギリスでも手話はまったく違います。

しかし、手話の違う国々のろう者が出会っても、少し努力して話しているうちに会話ができるようになります。これは手話が身振りだからという理由ではなく、身振りが高度に発達して作られた言語なので、その使い方を自然に会得している各国のろう者がいきなり出会っても、お互いに知っている身振りを確かめ合いながら会話の内容を膨らませていくことができます。

このように、国際交流が発展してきた結果として、国際手話が形作られました。各国の手話を尊重しつつ国際的なイベントでは国際手話も公用語のひとつとされています。

参考文献:国際手話のハンドブック 編:大杉 豊(全日本ろうあ連盟)

手話に方言があるの?

手話とはろう者のコミュニティの中から生まれ発達した言語であるため、そのコミュニティ(地域やろう学校、家庭など)ごとに単語などに違いがあります。

手話学習中の人に辞書ごとに載っている手話が違うがどれが正しいのか?とよく聞かれます。どれも間違っているのではなく正しいのです。そう説明するとひとつに決めて欲しいと言われます。

実際にそのような動きがあり、全日本ろうあ連盟が1969年に『わたしたちの手話』を発刊しました。全国のろう者や手話通訳者の代表により使いやすさなども考慮して選定した「標準手話」とされる手話単語集です。しかし、手話は地域のコミュニティなどから発展した言語であるからこそ、日本語と同じように標準語や方言があるのです。

日本語の「書き言葉」にあたるものが講演会や式典などのフォーマルな場で使われる「標準手話」とすれば、方言などの「話し言葉」にあたるものがそれぞれのコミュニティで使われる手話ということになるでしょう。

各地域やコミュニティで使われている手話もどれも受け継いでいって欲しい魅力ある手話なのです。

手話はどこで学べるの?

✧ 地域の手話講習会で学ぶ

各自治体や地域では、聴覚障害者の福祉の向上や手話の普及、手話通訳者養成を目的として手話講習会が開催されています。
講習会のレベルや開催時期、期間や定員等は地域によって異なります。お住まいの市区町村の障害福祉課や福祉事務所等(市区町村によって名称が異なります。)にお問い合わせください。

一般的に初級では手話奉仕員養成講座や入門・基礎手話講習会などの名称で、2月~3月中に募集申し込み、5月頃から開講、週1回で全40回程度のカリキュラムが多いようです。

✧ 手話サークルで学ぶ

市町村等の地域では、手話サークルの活動が行われています。手話サークルでは地域の聴覚障害者と共に、学習会やレクリエーションなどの活動を通して手話を学びます。各サークルの情報などはお住まいの地域の障害福祉課や社会福祉事務所、社会福祉協議会、ボランティア連絡会などで把握していることが多いようです。(自治体により異なります。)また、SNSやHPなどで情報発信しているサークル等もありますので検索してみてください。

地域に複数の手話サークルがある場合には、時間や曜日などの都合だけで決めるのではなく、各サークルに見学に行き自分に合ったサークルを選びましょう。

✧ 専門学校・高等教育機関等の養成校で学ぶ

手話通訳学科があるのは国立リハビリテーションセンター学院のみ。
他に手話語学科目として学べる大学などもある。

✧ テレビ番組で学ぶ

NHKEテレの「みんなの手話」では毎週1回の講座が放送されています。
テキストも販売されていて自分のペースや時間に合わせて学ぶことができます。詳細については下のリンクにてご確認ください。

NHKハートネット福祉総合情報サイト
https://www.nhk.or.jp/heart-net/syuwa/index.html

✧ 書籍で学ぶ

手話に関する書籍が多数販売されています。最近ではDVDやQRコードでの動画がついたものも多いようです。イラストでは二次元になってしまうため、手指の形や動き、表情などがわかりにくく途中で断念してしまうことがあります。ネット検索などでいろいろなおすすめ情報や口コミなども参考にしながら自分に合った教材を探しましょう。

✧ オンラインで学ぶ

コロナでの外出自粛の影響で手話サークルや地域の講習会が中止になった地域もあり、オンラインでの手話教室などが増えてきました。
検索するといろいろな教室がありますが、中には手話通訳の資格を持っていない健聴者が教えているものもあるようです。講師の経歴やカリキュラムなどをしっかり確認しましょう。