小宮山日記(5)
2025年夏からアメリカ・ワシントンにあるギャローデット大学(Gallaudet University)へ、社会人として留学している小宮山さん。 世界でも数少ない“聴覚障害者のための大学”で学ぶその挑戦を、コラムとして届けていきます。 日本とは異なる文化や環境の中で、小宮山さんが何を感じ、どんな視点を持つのか。等身大の言葉で綴られるリアルな声を、どうぞお楽しみに。

8月15日に日本を出発して、もうすぐ2週間。
最初はシアトルで兄夫婦と過ごしながら3日ほど観光して、その後ワシントンDCのギャローデット大学へ。まだ日数はそんなに経ってないけど、やっぱり日本にいるときと違って「英語を使わないと伝わらない」環境だから、自然とインプットもアウトプットもかなりできている気がする。でもその分、自分の英語力の足りなさも痛感中…。これからも英作文や英語論文の読み込みは続けていきたいなと思う。
今回はちょっと仕事の話を。
自分は飲料メーカーに入社して5年目になる。大学時代にCSVをテーマにした講義で、たまたまその会社の方が講演していて、「ここで働きたい!」と思ったのがきっかけ。入社してみると、当時はグループ全体で全く聞こえない社員は自分ひとり。しかもコロナ禍でリモートが広がり始めていた頃。そこでまずは自分のことを知ってもらう必要があると思い、部署のTeamsで自己紹介をしたり、月に1回くらい自分の学んだことを発信したりしていた。少しずつ周りとのコミュニケーションも増えて、会議では音声認識アプリを使ったり、発言の前に手を挙げてもらったりと、試行錯誤しながらルールを作っていった。
そのおかげか、毎年2〜3人ずつ聴覚障害のある社員が入社するようになって、今は全体で20人くらいに。最近は手話ランチも毎月開催されている。
とはいえ、課題はまだある。新しく入った社員から「自分の障害について、いつ・どうやって・どこまで上司や同僚に伝えたらいいのか分からない」と相談されることも。半年に1回くらい情報交換の場を作ったり、人事にガイドブックの提案をしたりもしたが、そのたびに自分の知識不足を感じた。
だからこそ、アメリカで聴覚障害者の就労支援についてもっと学びたいと思うように。
次回は、そのあたりをもう少し詳しく書いてみようと思う。


