「聞こえないって、聞こえないだけなんだ。」
ひとつの出会いが聞こえない娘を持つ私の財産となった。

ろう重複障害児を持つママの子育て奮闘記(3)

photo of paper and crayons

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 小学校3年生の夏休み
母の実家に帰省すると、その子はいました。

「くみちゃんだよ」
と教えてもらっただけで、あとは何も聞かされませんでした。
声の大きさには自信があった私は、
「くみちゃん! くみちゃん!」
何度も何度も名前を読んでみても、返事がありません。

「ミミキンカン!(中部地方の方言でツンボという意味)」
と叫んだら、さすがに周りが慌てました。

「これに書いてお話ししなさい。聞こえないんだよ」
と、紙と鉛筆を渡されました。

(聞こえないってことは、ヘレン・ケラーと同じなんだ)
そう考えた私は、紙に自分の名前を書きました。
そのあと、筆談だけでずーっとやりとりしていました。
ボードゲームのルールも、全部筆談だけで説明して遊びました。
「声を出さなくても、会話はできるし、遊べる。」
嬉しくて、楽しいひとときでした。

smiling girl photo

外に出たときに、くみちゃんは側転をしました。
その姿を見たときに、私は心から感動しました。
「聞こえないって、聞こえないだけなんだ!」

「障害」「ろう学校」「手話」という言葉を知ったのは、ずっとずっと後のことです。
でも、くみちゃんと一日過ごしたことが、今の私の財産になっています。

聞こえないだけ。他には何も違わない。
どんな障害にも、同じことが言えると私は考えています。
「先入観を持たない」
ここからがバリアフリーの始まりだと、私は思います。

 

著者:真愛美

妊娠中の風疹感染による先天性風疹症候群のろう重複障害児のママ。
同じような境遇のママ達に少しでも参考になればと子育て体験記、知恵、アドバイスなどを自身の経験から執筆。

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